バランス型投信コロナショック経て「攻め」に転換、「スマラップ」など株式引き上げ

 市場環境に応じて機動的な資産配分を行うバランス型ファンドの一角がコロナショック時の「守り」の運用から「攻め」に舵を切っている。

三菱UFJ国際投信が運用する「スマート・クオリティ・オープン」(愛称:スマラップ)は5月28日に全コースで株式比率の引き上げ、債券比率の引き下げを行った。同ファンドは年率リスク(標準偏差)を安定型が5.0%、安定成長型が8.0%、成長型が12.0%とする運用を行う。

3月下旬から株式市場が持ち直し、「統計的にみた各ファンドのリスク水準が正常な範囲内になったと判断した」として変更を行った。最もリスクが高い(成長型)で国内株式を3月23日時点の13.0%から26.3%へ、先進国株式を20.8%から43.5%へほぼ倍に引き上げるなど比較的大きな変更となっている。

日興アセットマネジメントの「スマート・ファイブ」は3月末時点で65.1%まで高まっていた国内債券の比率が4月末時点で60.9%、5月末時点で54.8%へと低下した。同ファンドは、基準価額への影響度が各資産で均等となるように配分を決定する「リスクパリティ」と呼ばれる運用戦略を用いる。

同戦略では、市場変動が高まっているときは比較的リスクが低い国内債券の比率が上昇する傾向があるが、足元マーケットがコロナショック時に比べて落ち着いてきたことから、安全資産となる国内債券の比率が低下している。

ピクテ投信投資顧問の「ピクテ・ダイナミック・アロケーション・ファンド」(愛称:アルテ)も比較的大きくポートフォリオの軌道修正を図ったファンドだ。5月末基準で株式の比率を45.8%と、前月末の33.1%から引き上げる一方、債券の比率を47.0%から40.7%へ、キャッシュの比率を6.8%から1.8%へ引き下げた。

同ファンドは各資産の期待収益率に加えて、マクロ経済分析やバリュエーション評価などの分析も踏まえて投資魅力度の高い資産を選定している。直近では「経済活動再開に向けた動きが徐々に活発になる中、一部の経済指標は改善傾向を示しており、世界経済には底打ちの兆しが見え始めている」として、再びリスクを取り始めた格好だ。

機動的な資産配分を行う多くのファンドはコロナショック時に債券やキャッシュの比率を高めるなど緊急対応を行い基準価額の下落を抑制したが、依然として守りを固めたままのファンドも目立つ。バランス型ファンドで残高上位の「東京海上・円資産バランスファンド」(愛称:円奏会)や「投資のソムリエ」はコロナショック後もポートフォリオに大きな変化は見られない。

「第二波」への警戒が根強い中、機動的配分のバランス型はリスク資産を積み増すか否か難しい判断を迫られそうだ。