コロナ禍に負けないバランスファンド、ショックにも下げない「UBS米国成長株式リスク・コントロールF」

 新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」が懸念されて、再び株式市場が不安定になってきた。前週の木曜日にNYダウが1861ドル(6.90%)の下落となり、金曜日には約500ドル反発したものの、依然として地合いは悪い。今年になって、NYダウが1日で1000ドル以上動いたのは14回(6月12日まで112営業日)。うち下落8回で、上昇よりも下落局面で深く沈む傾向にある。世界各国は、コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)から徐々に経済活動を再開しているが、再開に伴って感染者が増大する地域もあり、コロナ前の経済活動を回復するまで相当の時間を要すると目されている。前週木曜日のような急落は、今後も起こり得るとの前提で、資産運用に臨むことが肝要だ。

株式や債券などに分散投資するバランス型ファンドは、株価の上昇を資産の成長に取り入れつつ、株価下落時には下落率を抑制して中長期的な資産の成長を目指している。6月15日現在、国内公募投信で「バランス型」に分類されるファンドは1061本。その中で、モーニングスター・レーティングで5ツ星を獲得しているファンドのトータルリターン(3年)でランキング(20年5月末基準)すると、ベスト3は、トップが「UBS米国成長株式リスク・コントロールF」、次いで、「楽天みらいファンド」、「東京海上セレクション・バランス70」になった。

「UBS米国成長株式リスク・コントロールF」は、上位3ファンドの中でも際立って高いパフォーマンスを残している。3年トータルリターン(年率)は17.66%。これは、第2位の「楽天みらいファンド」の5.87%を大幅に上回り、かつ、同期間のS&P500(配当込み、円ベース)の8.89%をも大きく上回っている。主要な投資対象は米国株式だが、組入比率が変動するため、バランス型に分類されている。

このファンドは、米国の成長株式を主要な投資対象として米国株価指数を上回る成績をめざすと同時に、VIX(ボラティリティインデックス:恐怖指数)の水準等を手掛かりに独自の売買シグナルに基づいて、先物取引等を使って株式の実質的な組み入れ比率を100・50・0%の3段階で調整している。VIX指数が上昇し、株価のボラティリティが高い場面では、実質的な株式への組み入れ比率を0%に落としてしまう。

実際に、株価が大きく下落した3月などは実質的な株式組み入れ比率を0%に落として乗り切っている。株式市場は大きな価格変動に見舞われたが、同ファンドの基準価額は、3月初頭から4月半ばまでは、ほぼ横ばいで推移している。このような、独自の売買シグナルについては、運用を担っているUBSアセット・マネジメント(UK)リミテッドが抱えているためブラックボックスともいえるが、すでに設定から7年間の運用期間があり、その間、一貫して株価指数を上回る良好な成績を残している実績は評価できる。ただ、投資対象を米国成長株式に特化しているため、米国株式が調整してしまうと、大きな運用成績は期待できない。

第2位の「楽天みらいファンド」は、新興国株式を含むグローバル株式を主たる投資対象としているが、高利回りの新興国債券も分散投資の対象に組み入れている。さらに、市場の変動時にはVIX先物等を使って価格変動リスクを抑制する。債券も含めた分散投資をしている関係もあって、トータルリターン3年(年率)では、米国S&P500に及ばないものの、1年ではS&P500の8.97%を上回る11.58%になっている。このファンドも、VIX先物の使い方や、株式や債券への投資比率の調整等については、運用会社の楽天投信投資顧問の判断に任せるしかないが、運用期間7年間の間、安定的な成績を残している。

第3位の「東京海上セレクション・バランス70」は、確定拠出年金(DC)専用ファンド。株式70%(国内株式50%、外国株式20%)と債券30%(国内債券10%、外国債券17%、短期金融資産3%)を基本資産配分比率とする伝統的なバランスファンドだ。基本配分比率からプラスマイナス5%の範囲で運用会社が配分比率を調整し、より高い資産成長をめざす。株式の中心が国内株式であること、また、債券にも分散投資している関係もあり、S&P500にはパフォーマンスでは劣後する。ただ、過去1年間のトータルリターンは10.46%とS&P500を上回った。今年ピークからの基準価額の最大下落率が20.54%と、30%を越えた米国株より抑えた効果が出た。

米国株式は、今年2月に史上最高値を更新するほど値上がりした後だけに、コロナ禍のような外部ショックで株価変動率が大きくなる傾向がある。米国株式の価格変動のリスクを抑制する目的でVIXなどを活用すると、「UBS米国成長株式リスク・コントロールF」や「楽天みらいファンド」などが示したような好成績も期待できる。また、そもそも米国株式への投資比率が低い「東京海上セレクション・バランス70」などは、米国株価の波乱からの影響を避けて安定したパフォーマンスが期待できる。ただ、この場合は、米国株式が従前の成長軌道に戻った場合にリターンが見劣りしてしまう可能性がある。バランス型の運用は、一長一短があるが、株価が不安定な折には、運用資産を安定化させる効果がある。それぞれのファンドの投資資産や運用方針をよく理解した上で、納得できるファンドを選びたい。(図版は、コロナ禍で高パフォーマンスだったバランス型ファンドの相対比較チャート)