「THE 5G」と「健次」の強烈反騰に期待高まる、コロナ後のニューノーマル模索続く

 米国は、4月の失業率こそ20.0%と戦後最悪の結果になったが、株価はNASDAQが8日に史上最高値を更新するなど、3月の安値からV字回復を実現して堅調だ。ただ、株価の戻りには強弱があり、株式運用のファンドマネージャーらは「コロナ後のニューノーマル(新常態)」を見出そうと、さまざまな考察と調査を続けている。3月安値から頭一つ抜け出す上昇を見せたのは、「5G(第5世代移動通信システム)」と「バイオ・医薬品」の関連銘柄だった。運用会社各社の最新レポート等も参考に、コロナ後のニューノーマル時代の主役候補を検証してみた。

野村アセットマネジメントは5月28日に「新型コロナウイルス感染症がもたらすニューノーマル注目ファンド」というサイトを立ち上げた。非常事態宣言で広がった在宅勤務・テレワークを支えるインフラであるクラウド、また、キャッシュレス決済などの「テクノロジー」、そして、遠隔医療など「ヘルスケア」、eコマースや動画配信、宅食サービスなどの「新しい消費」、さらに、自ら備える重要性に気づかされた「人生100年時代」への備えなどが、ニューノーマルの時代に注目を集めるだろうと分析。同社が運用する「野村未来トレンド発見ファンド(愛称:先見の明)」、「野村ACI先進医療インパクト投資」、「情報エレクトロニクスファンド」、「野村ターゲットインカムファンド(愛称:マイ・ロングライフ)」などを紹介している。

日興アセットマネジメントが6月5日の「楽読(ラクヨミ)」で取り上げたキーワードは「デジタルツイン」だ。デジタルツインは、産業界が5GやAI(人工知能)など高度なIT(情報技術)を活用して取り組むデジタルトランスフォーメーション(DX)の中でも注目されている技術といえる。現実の生産設備などをデジタル空間上に再現させて、双方を連動させる仕組みのことで、例えば、実際に製造ラインを設置・稼働させる前にデジタル空間上でシミュレーションを行なって生産性を高める方法を確認したり、故障時の影響や復旧策のシミュレーションなどができる。この実現のためには生産現場に大量のセンサーやカメラを備え付ける必要があり、5Gを使った高速大容量のデータ通信が不可欠な要素になっている。米調査会社の試算では、デジタルツインの市場規模は2025年には19年比で約9倍に成長するという。

5Gについては、愛称「THE 5G」で純資産残高が6000億円を超える巨大な「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」を運用する三井住友トラスト・アセットマネジメントが10日にビデオ・コンテンツを更新。同ファンドの実質的な運用を担っているニューバーガー・バーマンのアジア株式のリサーチ責任者であるYTブーン氏が中国におけるデータセンターへの巨額な投資計画について紹介している。EC最大手のアリババは次世代データセンターに約280億ドル(約3兆円)、テンセントは向こう5年間で700億ドル(約7.5兆円)の投資計画を発表している。テンセントが2015年から実施した前世代データセンターへの投資額は5年間で合計16億ドルだったことと比較すると5G時代への投資は40倍以上の規模になっている。

一方、バイオ・医薬品関連は、コロナ対策の最前線で活躍する企業群として期待されるが、その中でも最大のファンド規模を持つ「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(愛称:健次)」を運用する三菱UFJ国際投信では医薬・医療関連市場の最新テクノロジーについてのスペシャルページを開設し、「AI創薬」「画像診断」「ゲノム編集」など、テクノロジーが生み出す医薬・医療関連市場の成長について紹介している。

また、「アムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド(愛称:みらいメディカル)」を運用するアムンディ・ジャパンは10日に「新型コロナウイルスと『みらいメディカル』の今後」と題したレポートを発表し、米マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏が2015年の講演で語った「今後、数十年で1000万人を超える死者が出ることがあるとすれば、それはおそらく戦争ではなく、感染力の高いウイルスによる可能性が高いだろう」という言葉を紹介。これに続けて、「私たちは核兵器の抑止には莫大な資金を投じてきたが、伝染病を止める仕組みにはほとんど投資をしてこなかったのだ」と、今日、私たちが直面している課題について述べていたことを伝えている。

米国のジョンズ・ホピキンス大学のまとめによると、10日時点で全世界の感染者数は717万人余り、死者は40万人余りになっている。感染者数、死者ともに増え続けている。ワクチンが開発され、有効な治療方法が確立されるまでは、コロナ以前の安心は戻ってこない。そして、未知のウイルスが再びパンデミック(世界的大流行)になることは避けて通れないと考えられる。その現実を踏まえて、なお、力強く成長が期待される企業群があることは、資産運用を行う者にとっては、勇気づけられることといえる。

新しい時代の主役になるかもしれない「THE 5G」と「健次」の基準価額は、それぞれ今年2月に付けた高値にあと一息のところまで戻している。今後の成長期待が本物であれば、2月高値を抜けてさらなる上昇を遂げていくことになるだろう。今後のパフォーマンスに注目していきたい。(図版は、「THE 5G」と「健次」と「S&P500」のトータルリターン相対比較。6月9日から過去1年間)