「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」が残高1兆円突破、企業利益の複利効果を投資収益に結びつけるしたたかな視点

 アライアンス・バーンスタインが設定・運用する「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は8月3日、シリーズ4コースの合計純資産総額が1兆円を超えた。「Aコース(為替ヘッジあり)」と「Bコース(為替ヘッジなし)」が設定されたのは2006年5月25日。その後、14年9月16日に「Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型」と「Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」を加えた。設定から約15年間にわたって、リーマンショックや欧州債務危機、今回のコロナショックなどを乗り越えて堅調な右肩上がりの運用成績を残している。同ファンドの運用の特徴と人気化の背景について、アライアンス・バーンスタインの運用戦略部長(株式・オルタナティブ担当)の岡田章昌氏(写真)に聞いた。

同ファンドの運用の特徴は、「持続的な成長企業に厳選投資する」というところにある。デジタル・トランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)などといった特定のテーマやセクターなどに投資するのではなく、外部環境に左右されずに本業でしっかり利益を稼ぎ出す力のある企業を、ボトムアップ(個別企業調査)による定性判断で選び抜いている。「特に、稼ぎ出した利益を事業に再投入し、さらに大きな利益を生み出すような、利益の複利効果によって持続的な成長が期待できる企業を選んでいる」(岡田氏)という。

岡田氏は、「成長株投資だからといって、企業の変化率の大きさだけを評価するのではない。現実として利益が稼げているかを重視し、稼いだ利益を企業の成長に役立てているかという本当のエクセレントカンパニーに投資することが、このファンドの狙い。将来の高い成長が期待されるものの、現在は赤字だという企業には投資していない」という。このような銘柄選定を厳格に行うことによって、3年~5年という期間では、市場インデックスや類似ファンドを上回る運用成果を残すことができたと解説する。

そして、近年の運用資産残高の拡大は、このファンドのコンセプトの理解が進み、販売会社も広がって、「2018年以降には、市場が良い時、悪い時の区別なく、新しい投資資金が入ってくるようになった」ことの効果が大きいという。

設定当初は、同ファンドのコンセプトが最も活かせる長期投資に適したコースとして、運用収益を極力再投資に使うAコースとBコースだけでスタートした。14年9月に、運用成果を積極的に分配金として払い出す「予想分配金提示型」のCコースとDコースを追加し、運用収益を分配金として実感できる仕組みが加わったことによって、取り扱いの販社が増え、そして、分配金の実績が積み重なることによってファンドの残高増が加速したという。

現在は、大手証券から中堅、地方の銀行系証券会社にも販社が広がり、さらに、地方銀行でも同ファンドを取り扱うようになっている。アライアンス・バーンスタインでは、販売会社に対して、投資哲学を理解してもらうために投資している企業の詳しい事業内容やビジネスモデルなどを解説する資料を提供するなど情報開示に注力し、ファンドへの理解と共感が得られるように、きめ細かなフォローを行っている。「ファンドの運用について理解が進むほどに、株価が低迷している時にこそ、このファンドには良い投資機会となっていることがわかっていただけ、市場の環境に左右されず、ファンドに投資資金が入ってくるようになった」と、地道な情報提供活動の成果も、残高1兆円突破の力になったと振り返っている。

一方、今後の運用の見通しについては、「アメリカには稼げる企業が数多く存在している。ウイルスによって、稼げるビジネスモデルそのものが壊れるわけではない。当ファンドでは、歴史的に企業のEPS(1株当たり利益)成長率が年10%台半ばで期待できる企業群でポートフォリオを組んでいる。PERが拡大し、成長株が大きく値上がりするような環境でなくても、企業の利益成長を株価が評価すれば、3年から5年のサイクルで年率10%台半ばのパフォーマンスが返せる実力がある。これからも、当ファンドは魅力的な投資機会を提供できる」(岡田氏)と語っている。

同ファンドは、今年3月のコロナショックの折には、ベンチマークにしているS&P500の下落率よりも軽微な下落にとどまり、4月以降の反発局面では、S&P500の上昇率を上回る上昇を見せた。この背景は、今年1月頃まで米国株価が史上最高値に上昇している局面では、「ハイテク株の高値を追いかけて利益を追求するより、投資利益を確定しキャッシュポジションを手厚くする他、株価が大きく動いていなかったヘルスケアや消費セクターに分散投資する動きをしていた。その後、株価が大きく下落する中で、高過ぎて買えなかったり、利益確定したIT関連に再投資することができたため、株価の戻り局面で高いパフォーマンスにつながった」という。

岡田氏は、「コロナの収束や大統領選挙の結果など、予測不能なことをあれこれ考えることはしない。それよりも、注目している企業がしっかり利益を稼いでいるかをチェックし、マイペースで運用を続けている。その結果として持続的に安定的なリターンをお返しできるのが、このファンドの魅力だ」と語る。米国株式は、資産運用のコア資産として非常に重要な投資資産といえる。また、同ファンドの組み入れ上位銘柄にある、マイクロソフトもアマゾン、VISA、フェイスブックも私たちの日常で使っているサービスであることが多く、分かりやすいのも米国株式の魅力といえる。インタビューを通じて、同ファンドには残高1兆円を通過点として、さらに多くの支持を集めそうな広がりが感じられた。