5ツ★に返り咲いた「フイデリティ・USリート・ファンドB」、米国債と利回り格差でリート利回りも魅力的

 「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」が7月末基準のモーニングスターレーティングで5ツ星(★★★★★)に復帰した。5ツ星は20年3月末以来4カ月ぶり。同ファンドは、2013年6月に4ツ星に格上げされて以来、4ツ星を中心に、3ツ星と5ツ星の間を往来していたが、19年までは3ツ星と4ツ星の間の往来だったものが、20年になってからは4ツ星と5ツ星の間の往来へと1段階上がった。

同ファンドは、主として米国に上場しているリート(不動産投信)に投資するファンドだ。ベンチマークを「FTSE NAREIT All Equity REITsインデックス(税引き前配当込み/円ベース指数)」とし、これを上回る成績を追求するアクティブファンドだ。2003年12月の設定で、為替ヘッジありのAコースと、為替ヘッジなしのBコース、資産成長型C(為替ヘッジあり)、資産成長型D(為替ヘッジなし)の4コースがある。Bコースは、残高が5700億円を超えており、現在のところ国内公募投信(ETF除く)の中で、残高が第4位に位置する大型ファンドになっている。

同ファンドは、2015年10月から残高が1兆円を超え、16年12月には1兆6000億円超の残高に達し、17年12月まで1兆円超の残高を維持していた。その後、毎月分配型ファンドに対して「長期投資の手段としてふさわしくない」という批判が高まったこともあって人気が離散したが、ベンチマークのFTSE NAREIT All Equity REITsインデックスは、19年10月まで右肩上がりで上昇を続けていた。

実際に、同ファンドの分配金再投資基準価額は、ファンドの残高が減少する中にあっても2万8000円から3万円へと緩やかに上昇していた。そして、ベンチマーク指数がピークを付けた19年10月には、分配金再投資基準価額は3万5000円超に上伸した。その後、ベンチマーク指数はピークを越えることなく20年3月のコロナショックによる大幅な下落を迎えるが、同ファンドの分配金再投資基準価額は20年2月21日に3万7953円の高値を実現している。

同ファンドの運用成績がベンチマーク指数を凌駕している背景は、フィデリティ投信が7月16日に公表したスペシャルレポート「米国リート市場の動向およびポートフォリオ戦略」で解説されている。コロナ禍で米国経済がリーマンショックを超える大きな不況の波を被る中にあって、リートの業績見通しに応じたメリハリのあるポートフォリオ戦略を取っている。具体的には、「データセンター」「物流」等をオーバーウエイトにし、「オフィス」を慎重に見ている。

「データセンター」は、コロナ禍によって一気に広がったテレワーク(在宅勤務)などによってデータ使用料が増大し、データセンターの需要も拡大。同様に「物流」も在宅で買い物ができるEコマースが成長することによって物流拠点の需要が増している。一方、「オフィス」は在宅勤務の進展によってオフィス需要が減退し、投資銘柄を選別する必要が出てきている。このようにメリハリの利いた銘柄選択を行った結果が、ベンチマーク指数を超えるパフォーマンスにつながっていると考えられる。

一方、リート市場全体についても、コロナ禍による景気減速に対抗するために実施された金融緩和によって米10年国債利回りが1%を下回って低下。ベンチマーク指数ベースの米国リートの配当利回りとの格差が拡大している。6月末現在、米10年国債利回りが0.7%に対して、米国リートの配当利回りは4.5%になっており、利回り格差は3.8%に拡大している。

フィデリティ証券が調べた結果によると、1990年1月から2020年6月までの約30年間の間、米国10年国債利回りと米国リートの利回り格差が3%以上4%未満に拡大した時には、1年後の米国リート指数の平均リターンは33.6%、3年後には105.6%になった。6月末現在で3.8%にまで格差が開いた米国リートは、中長期的な投資対象として非常に魅力的な水準にあるとしている。

7月末時点で5ツ星に返り咲いた「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」についても、今後の活躍が期待できる魅力的な投資対象といえるだろう。(図版は、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」のレーティングの推移)