テック革命の黄金時代到来!  「ティー・ロウ・プライス グローバル・テクノロジー株式ファンド」運用責任者に聞く

 ティー・ロウ・プライス・ジャパンは、日本で3本目となる公募投信「ティー・ロウ・プライス グローバル・テクノロジー株式ファンド」を9月28日に新規設定する。“成長株投資の祖”といわれる創業者トーマス・ロウ・プライスJr.氏の投資哲学である「将来性ある企業をいち早く見出し、長期的な成長を共に享受する」という考えを具現化する同社の成長株投資のコアといえるフラッグシップファンドの1つだ。新ファンドの特徴と運用の実際について、同社の投資信託ビジネス統括責任者である土居邦彰氏(写真:左)と、米サンフランシスコ拠点に在籍する運用責任者のアラン・チュー(Alan Tu)氏(写真:右)に聞いた。

――新ファンドの特徴は?

土居 新興国も含めた世界中の革新的なテクノロジー企業の中から、高い成長が期待できる企業を厳選して投資します。また、経済構造の変化や新たな技術革新を経て、成長するテクノロジーの分野も変遷していますが、当ファンドは、その旬を見極め、保有銘柄を継続的に見直し、機動的な運用を行います。テクノロジーの新たなトレンドを捉えて成長する企業に投資することで、投資家の皆様に長期にわたって保有していただける運用成果をめざしています。

当ファンドと同じ運用手法で運用されているコンポジットは、2000年10月末に運用を開始し、20年弱の歴史がありますが、2020年6月末時点で運用開始来のパフォーマンスは当ファンドと同等の信託報酬1.793%(税込み)を控除後で年率換算9%です。同期間の世界株式指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)の年5%を大きく上回っています。また、過去10年では、年率換算22%で米モーニングスターのテクノロジーファンドカテゴリー178ファンドの中でトップの成績です。

運用の特徴としては、常に投資先企業の変化の動向に目を光らせ、きめ細かく機動的なポートフォリオ運用に心がけています。同戦略の代表口座の過去12カ月の売買回転率は67.2%となっていて、決してバイ・アンド・ホールド(買い持ち)ではなく、比較的頻繁に銘柄の入れ替えを行っています。

当運用戦略は2017年9月に約1兆円相当に達した際に運用上限に至ったとの判断により新規買い付けの受付を停止しておりましたが、その後、テクノロジー株式の流動性が増したこと等から、2020年4月から既存投資家に限定的に販売を再開。また、同時に新規の投資家向けに一部残高を解放しました。今回のタイミングで公募新規ファンドとして募集されるのは世界で野村證券を通じて販売される当ファンドのみとなります。

――国内で3本目の公募投信の設定になりますが、既存の2ファンドとの違いは?

土居 創業来、成長株投資を追求してきたティー・ロウ・プライスの約170名からなるアナリストチームのサポートを受けることは同じですが、3ファンドそれぞれに投資対象が異なります。最初に設定した「ティー・ロウ・プライス 世界厳選成長株式ファンド」は、世界の成長企業に投資するファンドですが、新ファンドはテクノロジー企業に絞って投資します。また、2号ファンドの「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド(愛称:アメリカン・ロイヤルロード)」は、アメリカに限定して成長株式に投資しますが、新ファンドは世界のテクノロジー関連株式を対象としています。3ファンドでそれぞれに保有するポートフォリオで重なる銘柄が3割程度です。

――20年3月末時点では保有65銘柄で、ポートフォリオのEPS(1株あたり利益)成長率は22.4%ということですが、現状のポートフォリオに変化は?

アラン コロナショックで市場が大きく揺れた今年3月に銘柄の大きな入れ替えを行ったところですから、現状はそれほど大きな変化はありません。EPS成長率は過去の平均が10%台半ばでしたので、現在は過去平均と比べると、10%ほど高い成長率になっています。ただ、このEPS成長率は、高い成長率を狙って銘柄を揃えたわけではなく、アナリストの調査に基づいて、ベストのポートフォリオを作る目的で個別銘柄をセレクトした結果できあがったものです。

――ファンドでは、時代の旬のテクノロジーを見極めて投資銘柄の入れ替えを機動的に行うということですが、基本的に各銘柄への投資期間は何年くらいを目安に考えていますか?

アラン 投資期間は、投資銘柄によってまちまちです。比較的短期の値上がりを期待して持つ場合もありますし、中長期の成長を期待している銘柄もあります。ただ、ポートフォリオの中核となる銘柄群は、概ね2年~3年間の投資期間を考えて、大きな成長期待のある銘柄に投資しています。

――現在のポートフォリオで組み入れトップの銘柄への投資理由は? また、組み入れ上位銘柄の特徴は?

アラン 現在のポートフォリオのトップはアマゾンです。Eコマース部門は、コロナ禍の影響で需要が増大しています。アマゾンは、世界中のどのEコマース企業より物流インフラへの投資を積極的に行ってきた企業ですから、このビジネスチャンスを取りこぼすことがないと考えます。また、AWSクラウド・コンピューティング・サービスによって、増大するデジタル投資の受け皿としても急成長しています。これらの事業は、短期的にも長期的にも成長が期待されます。

また、現在進行しているデジタルトランスフォーメーション(DX)によって、デジタル投資が加速しています。従来は、業務の効率化のために有効なソフトウエアがあった方がいい(nice to have)という判断でしたが、現在は、デジタル化は必須(must have)といわれる状況です。コロナ禍によってIT化が加速しました。特に、クラウドサーバー上のソフトウエアをインターネット経由で提供するSaaS関連で法人向けのサービス会社を組み入れ上位にしています。クラウドコンピューティングではアマゾンやセールスフォース・ドットコム、ITインフラ管理支援のソフトウエアを提供するサービスナウ、ネットセキュリティーのクラウドストライクなどの企業です。

――NASDAQ総合指数もS&P500も史上最高値に上昇している現在、その上昇をけん引したテクノロジー企業にこれから投資するのはリスクが大きいのでは?

アラン テクノロジーの進化に限りはないと思います。短期的には利下げの影響で市場に大きな資金が流入し、株価指標で割高な水準にまで買い上げられた銘柄もあります。これから一本調子の株高が継続するとはいかないかもしれませんが、長期のトレンドでみて、現在進行しているデジタル化投資の波は、かつてない大きな波として全産業を巻き込んで進んでいくものと考えています。その点で、現在はテクノロジー・イノベーションの黄金時代の序盤にあると思います。

クラウドコンピューティングが急拡大していますが、クラウドも現在のアマゾン、マイクロソフト、グーグルなどに集中した第1世代から、分散に向かう第2世代の動きが出ています。エッジコンピューティングといわれる分野ですが、巨大なサーバーで情報処理を行うのではなく、スマートフォンなどネットワークにつながった端末で情報処理を行う仕組みです。この端末は、自動運転の自動車やリビングにある家電製品などに広がり、さらに多くのアプリケーションが開発・活用されるようになるでしょう。関連企業には新しい成長の舞台となります。

クラウドが集中型から分散型に移行することも一つの変化に過ぎません。現在のテクノロジーが、それぞれに変化して、より便利で効率的に進化していくことが考えられます。それぞれのテクノロジーについて使い方、そのサービスを支えるインフラなど、デジタルエコノミー、および、テクノロジーの進化は終わることなく続くでしょう。

実際に、スポーツ用品メーカーのような、一見するとITとは関係のない企業のトップと話をしていても「これからテクノロジー投資を拡大する」といいます。もはや、テクノロジー投資やデジタル投資に縁のない企業はない状態になっています。あらゆる産業がデジタル化していく中で、これまでになかった事業機会を捉えたスタートアップ企業もどんどん生まれてきます。急速に進むイノベーション(技術革新)が生み出す、テクノロジー産業の大きな未来に、ぜひ投資することをご検討ください。